山田オリーブ園 国内で初めてオリーブの有機栽培に成功しました。

Q「オリーブアナアキゾウムシに開けられた穴が沢山」どうすれば?

 「10年前に家のシンボルツリーとして植えたオリーブに30個以上の穴が空いていました。どうしたらいいですか?」というコメントをブログにいただきました。同じような質問をいただくことがあるので、農薬を使わない場合の基本的な対処方法を書いてみます。

オリーブアナアキゾウムシが羽化した後の穴

 こんな感じの穴が30個以上空いていたそうです。

 

 

 

 それ以外の情報を箇条書きにするとこんな感じになります。

  • 根元を見てみると、穴とおがくずのようなものがありました。
  • 成虫も10匹以上見つけて捕獲しました。
  • 穴の位置は根元だけでなく1.5m以上の高さの所にも開いており、成虫も結構高い場所にいました。
  • 少し元気がない感じもしますが、弱っているという感じはしません。根元から新しい枝も出てきています。
  • 駄目元で書いてらっしゃるようにマイナスドライバーを使ってやってみようと思います。
  • 幼虫を見つけるために、穴が開いているところは全て削った方が良いのでしょうか。それとも穴とおがくずの様なものがあるところだけ削れば良いのでしょうか?
  • オリーブの下に下草はなく、小さな白色の化粧石を置いてあります。
  • 再生できるかどうか分かりませんが、出来れば薬剤を使わずに何とか枯らさずこのまま育ててあげたいと思っています。アドバイスを頂けたら幸いです。
  • オリーブの木の花壇から1mくらい離れた場所に、同じ様な花壇の中にオリーブよりかなり背の高いシマトネリコが植わっています。オリーブアナアキゾウムシはシマトネリコにも害を及ぼすようなことはあるのでしょうか?

 

 

 

1)すぐにやること

2)今後のためにやること

3)1年単位でやること

 

 3段階に分けて説明したいと思います。

 

 

1)すぐにやること

 

もうすでに実行されているようですが、やることは3つあります。

①オガクズ状の糞が出ているところにいる幼虫をマイナスドライバーで掻き出します。

実際にゾウムシの幼虫をマイナスドライバーで捕獲している動画です。まずオガクズが出ている一番上あたりにあるオガクズの出口をドライバーで押さえながら見つける。次に穴を空けて幼虫が木を食い進んでいった方向に穴を広げていき穴の一番奥にいる幼虫を掻きだします。

 

②一通り掻き出したらオガクズ状の糞を掃除します。全部掻き出せてないことや、そもそも糞がまだ出ていない幼虫もいるので、新しく出てきた糞を発見しやすくするため、古い糞はきれいに片づけてしまいます。

 

③成虫を捕獲します。

オリーブアナアキゾウムシがいる場所

ゾウムシが居る場所には偏りがあります。1番、多くて見つけやすいのは木の根元。2番目は地面から1m以内にある木の又や支柱の接合部、3番目は地面に近い横に伸びた枝。

赤い①;成虫を最も見つけやすい木の根元

赤い②;成虫が最も多く留まっている下枝の底

 

とにかく目を皿のようにして探します。

 

しかし、この問い合わせいただいた人のオリーブは5mくらいと上の方にいるゾウムシを見つけるのが難しい縦長の樹形です。

 

オリーブの木

これまで秘密にしていた方法を1つ開示します。パラソル法。相当高い確率でゾウムシが木にいる場合には有効です。

 

ゾウムシ捕獲・パラソル法

この写真のオリーブはゾウムシに食害されて弱っていたものを畑ごと引き継ぎました。慢性的にゾウムシに食害されて木が弱っています。しかし、高い確率でゾウムシがいるので、ときおりこの方法を使います。オリーブの木の下にできるだけ大きい傘をひっくり返して置きます。そして、コンコンコンと幹を叩くように揺すります。オリーブアナアキゾウムシは人間が近づく振動で枝からポロリと落ちて死んだふりをする性質を利用した方法です。この方法なら高いところにいるゾウムシも傘に落とすことができます。傘がない場合は、レジャーシートのようなものでも構いません。落ちてきたものがゾウムシと見分けやすければそれでOKです。このパラソル法の果樹園で効果的な使い方は、いつか別の機会に書きます。

 

「幼虫を見つけるために、穴が開いているところは全て削った方が良いのでしょうか。それとも穴とおがくずの様なものがあるところだけ削れば良いのでしょうか?」

 

この質問への答えは穴が空いたところは何もしません。穴が空いているということは、幼虫が成虫に羽化して出て行ったことを意味しています。つまり、穴の中には、もう幼虫はいないので、掘っても何も出てきません。ちなみに、穴が空いたままでも、穴をドライバーで広げてきれいにしても、木のダメージは同じです。見た目を考えるなら削らないでそのままにしておいた方が見栄えはいいかもしれません。とにかくオガクズ状の糞が出ている所だけを徹底して削り幼虫を見つけ出して捕殺します。

 

 

2)今後のためにやること

 

3つあります。

①オリーブの根元をすっきりさせます。

オリーブの根元

現状の写真は、雑草などもなく、よく手入れがされていますが、大小の石の陰にゾウムシが隠れやすくなっています。また、木の上の方から落ちてくるオガクズも気づきにくいとも言えます。できれば石は片づけて土が見える状態がベストです。また、ひこばえもフィッシング法には使えますが基本的には、切ってしまった方が根元が見やすくなります。

※成虫の有無をしるためのフィッシング法の記事 → https://organic-olive.com/olive-labo/6200/

 

②支柱の結束部分をすっきりさせます。

オリーブの支柱

支柱と幹を結んでいるシュロ縄の左上あたりにオガクズが付着しているので、シュロ縄の下あたりにまだ幼虫がいるかもしれません。このような縄で樹皮を覆うと中に幼虫が潜り込んだり、成虫の隠れ場所になりやすいので、この縄は取ってしまいます。替わりはビニールハウスなどで使用する平たいハウスバンドなどが食い込みにくく、虫が隠れにくいのでおすすめです。

 

 

③定期的にチェックする。

うちの畑では毎朝500本のオリーブを全て見て回って、オガクズが落ちていないか、成虫はいないかチェックしています。少なくとも今年の秋くらいまでは幼虫が残っている可能性が高いので、できれば1日1回、少なくとも1週間に1回はチェックしましょう。また一度、オリーブアナアキゾウムシがいた木は集合フェロモンによって、他のところのゾウムシを呼ぶので、いったんいなくなっても、またやってくることがあります。定期的な見回りはぜひ習慣化してください。

 

 

3)1年単位でやること

 

30ヵ所以上食害されているので、これから木が弱ってくる可能性があります。葉色が悪くなり、落葉が始まっても、いったん何もせず見守っていてください。冬に入ると木の活性が落ち、元気がなくなるかもしれませんがオリーブは案外タフです。枝が茶色く枯れたら、その枝は落とすくらいで構いません。春になると幹さえ生きていれば新芽が吹きなおします。

 

ただし、ゾウムシの食害とは関係ありませんが、オリーブの樹形をそろそろ整える強剪定をしてもいいタイミングのように見えます。1階の窓の上の方の葉が元気で、その下の葉に光が当たらず弱っていくことがあります。つまり頭でっかちの樹形になってしまうので、来年の春先あたりに、1階の窓の上当たりまで切り戻すのも手です。ちなみに、僕たちのような実を収穫する農家は、このような樹形になる前に必ず強剪定で切り戻します。

 

 

最後に

「オリーブの木の花壇から1mくらい離れた場所に、同じ様な花壇の中にオリーブよりかなり背の高いシマトネリコが植わっています。オリーブアナアキゾウムシはシマトネリコにも害を及ぼすようなことはあるのでしょうか?」

 

シマトネリコはモクセイ科の樹木なのでオリーブアナアキゾウムシも食害します。なので、ゾウムシに食われていないかチェックしてください。ただし、うちの庭にもオリーブの横にジマトネリコが植わっていますが、オリーブは食われてもシマトネリコが食われたことはありません。オリーブアナアキゾウムシはシマトネリコよりオリーブの方が好きなのかもしれません。実際は分かりませんが。

 

いきなり全部でなくても構いません。少しずつできる範囲で、ときおりオリーブの木に話しかける感じで見てやってください。木は話しかけられるのが好きなような気がします。僕の場合は、オリーブの木に話しかけることより、ゾウムシに話しかける方は多いかもしれません。虫の方がより気持ちが分かるので。

 

健闘とオリーブとの楽しい毎日を、瀬戸内の小さな島から祈っています。

 

 

 

文と写真 山田典章

オリーブ専業農家。香川県小豆島の山田オリーブ園園主。1967年佐賀県生まれ。岡山大学農学部を卒業後、ベネッセコーポレーションに入社、保育事業などの立ち上げに携わる。2010年から小豆島に移住し、新規就農。日本で初めてオリーブの有機栽培に成功し、オリーブ栽培としては初の有機JASに認定される。

 

 

 

 

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