山田オリーブ園 国内で初めてオリーブの有機栽培に成功しました。

2020年最新オリーブアナアキゾウムシの捕まえ方~フィッシング法~

 オリーブアナアキゾウムシを捕まえるタイミングは大きく2つある。

 

 1つは幼虫を捕まえること、もう1つは幼虫を生む成虫を捕まえること。このあたりの捕獲方法は「これならできるオリーブ栽培」に具体的に書いたので、ここでは、ざっと基本的な方法をカラー写真を使って押さえつつ(本は白黒なので)、まだ本には書いていない開発中のフィッシング法を紹介する。

 

幼虫を捕まえるには、木の中に潜っている幼虫が樹皮の外に出すオガクズ状の糞や黒いシミを目印にしてドライバーで掻き出すのが最も基本的な方法。

オリーブアナアキゾウムシの幼虫の糞

木の根元あたりに多く出る茶色のオガクズ状の糞。

 

オリーブアナアキゾウムシの幼虫に食害されて黒くシミになった樹皮

食い荒らされて黒いシミになった樹皮。

 

オリーブアナアキゾウムシの幼虫

マイナスドライバーで掘り進めゾウムシの幼虫を掻き出す。

 

 このように幼虫の捕獲は基本的に見つけてしまえばそんなに難しくない。とにかく根元の周りをきれいにしておき定期的に見回りサインが出たら掻き出す。これだけ。愚直にやれば結果が出る。ちなみに幼虫がいれば数週間前には幼虫を産み付けたゾウムシのメスがいたはずなので、ゾウムシの成虫が潜みそうな木の又や窪みなどを徹底的に探す。

 

オリーブアナアキゾウムシ

このときは50cmくらいの主枝の分かれ目に隠れていた。これを捕まえればもう幼虫が増えることはない。

 

 

 幼虫の捕獲に対し成虫を捕獲するゾウムシハントは少し複雑で観察力や推理力が求められる。例えばうちには500本のオリーブがあるが1年間で捕獲するゾウムシは200匹前後。つまり、3mを超えるオリーブの木のどこかに潜む2cm弱のゾウムシの成虫を毎日徹底的に探索しても1本の木には2~3年に1匹くらいしかゾウムシはやってこないということになる。闇雲に探すことなんてできない。

 

 ちなみに少ししか来ないので大丈夫だと思ったら大間違い。春先に1匹のメスがやってきて卵を産み、その子供が更に卵を産みネズミ算式に増えることで500本くらいの畑なら1年で全部の木が枯れてしまうことだったありえるし、そういう畑を目撃したこともある。つまり農薬を使わないでオリーブを育てたいのなら500本の木を守るためにゾウムシを1匹も見逃さないで全部捕捕まえるつもりで徹底的に探す。

 

 ゾウムシを飼い、生態を調べ、毎日のデータを残し10年間分析することで、ゾウムシの成虫を捕まえる実践的な方法論が分かってきたので、そのことを本に書いた。しかし、ゾウムシの捕まえ方もしくはゾウムシからオリーブを守る方法論が完成されたとは考えていない。まだまだ農薬に比べると手間が掛かるし、例えばオリーブアナアキゾウムシ特有の集合フェロモンがどのように他のゾウムシを集めるのかといったメカニズムや、品種によってのゾウムシの加害の偏りなど、もっともっと知りたいこと試したいし新しい捕獲方法はいくらでもある。

 

 その中でも、今年2020年に開発中の新しい捕獲方法→名付けて「フィッシング法」を少しだけ紹介する。まだ未完成なので本には間に合わなかった。

 

オリーブアナアキゾウムシの食害跡

このオリーブの若葉をよく見てもらいたい。葉が何かに食べられている。そして葉の付け根に黒い粒がある。これがオリーブアナアキゾウムシの成虫のサイン。ゾウムシが葉を食べたとき特有の齧られ方がこれ。そしてその近くに残った黒いのはゾウムシの糞。ゾウムシ特有の痕跡を沢山見ることで他の虫、例えばハマキムシやスズメガの幼虫、コガネムシやショウリョウバッタとの違いが見えてくる。

 

オリーブアナアキゾウムシが食害した痕跡

齧った跡に糞。更にもう1つ情報が残っている。齧られて倒れた新梢の葉色がまだ青々しているということはここ数日のうちに齧ったということだからこの木には相当高い確率でゾウムシが隠れている。

 

 ちなみに、この成虫の食害跡と糞のサインでゾウムシを捕まえる方法は去年から少しずつ試していた。幼虫のオガクズ状の糞をサインにする方法は成虫が産卵してから1ヵ月近く後にしか分からななかったのが、成虫の食害跡をサインにした場合、食べてすぐに分かるので存在確率が高いというのが最大のメリット。しかし、数万枚のオリーブの葉の中からゾウムシ特有の齧られた葉数枚を見つけないといけないので、ゾウムシハントの実践的な方法としては使えなかった。

 

 しかし、現在、試しているフィッシング法によって、木の状態限定だが使える可能性が出てきた。

 

オリーブのヒコバエ

フィッシング法とはコレ。ヒコバエを1本だけ残す方法。

 

オリーブアナアキゾウムシの食害跡

例えばこの木。春先に幼虫を捕獲したのでヒコバエを1つ残しておいた。

 

オリーブアナアキゾウムシの食害跡

赤い丸のところにオリーブアナアキゾウムシ特有の齧られた跡がある。ということは成虫がまだいる可能性が高いということ。

 

オリーブアナアキゾウムシ

目を皿のようにして探すと根本から2mくらの木の又にいた。ちなみに、通常この高さまでは探さないが、どこかにいることが分かっているので三脚を使って発見。

 

 フィッシング法とは、ゾウムシの成虫が大好きな新梢をゾウムシが産卵のために降りてくる根元にヒコバエとして生やしておいて食わせて、それをサインに徹底的に探す方法。ヒコバエが餌が付いた針であり浮きの役割を果たす。

 

 釣り好きならではの新しいゾウムシハント方法だが、この方法で捕まえたゾウムシは、まだ3匹。工夫の余地はまだまだあるけど、こういうのは数をこなしていくと、どっかで大発見につながることがあったりなかったり。

 

ということでゾウムシマスターへの道のりはまだまだ遠い。

 

 

 

 

文と写真 山田典章

オリーブ専業農家。香川県小豆島の山田オリーブ園園主。1967年佐賀県生まれ。岡山大学農学部を卒業後、ベネッセコーポレーションに入社、保育事業などの立ち上げに携わる。2010年から小豆島に移住し、新規就農。日本で初めてオリーブの有機栽培に成功し、オリーブ栽培としては初の有機JASに認定される。

 

 

 

 

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