山田オリーブ園 国内で初めてオリーブの有機栽培に成功しました。

オリーブの種を蒔いて世界でただ1つだけの品種のオリーブを育ててみよう!

1.品種の名前がついたオリーブと実生オリーブの違い

2.ネットに書かれている種から発芽させる方法

3.種から発芽させるもっとカンタンな方法

4.少しだけ手間を掛けるときのコツ

5.うまく芽が出たら

6.実生のオリーブの特徴

7.実生のオリーブは実をつけるようになるまで15年以上掛かる?

8.実生の中で実を沢山つける木の割合

9.実がつかない実生とのつきあい方

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種から芽が出た実生のオリーブ

もしオリーブの実が手に入ったらタネを蒔いてみてください。

 

世界で、ただ1つだけのオリーブの芽が出て、実が沢山生れば、自分の名前を付けた新しい品種のオリーブをこの世界に残すことができます。

 

沢山実がつかなくても構いません。オリーブの盆栽に仕立てることもできます。

 

私は小豆島でオリーブ農家をしています。うちのオリーブは有機栽培で育てているので除草剤を使いません。摘み残した実が地面に落ちて、春には色んなところからオリーブの芽が出ます。

 

オリーブを発芽させる一番カンタンな方法と、世界で1本だけの実生オリーブの楽しみ方を紹介します。

 

 

1.品種の名前がついたオリーブと実生オリーブの違い

実生のオリーブ

例えば、ホームセンターなどで売っているオリーブの苗木はタネから芽が出た実生ではありません。実生とはタネから芽が出た草木です。

 

ミッションとかカラマタなどといった品種の名前がきちんと書かれているものが、最近では多くなっています。これは実生ではなく挿し木で増やした苗です。

 

例えば、ミッションという品種は100年以上前にアメリカから日本にやってきたオリーブの品種で、小豆島で栽培が始まり今では何万本何十万本というミッションが小豆島に植えられています。

 

うちの畑にも沢山あります。オリーブは原則、挿し木で増やすことで品種を維持しています。

 

つまり、うちのミッションの木は、隣の畑のミッションと兄弟ではなくクローンということになります。遺伝子的に100%同じ。100年前にアメリカの西海岸に植えてあったミッションと小豆島のうちの畑に植えているミッションは同じ木です。

 

しかし、実生は違います。

 

オリーブは基本的に、ほとんど自家受粉しません。違う品種の花粉がめしべに飛んできて受粉し全く新しい品種のタネができます。

 

つまり、ミッションの木になっている実から芽が出た子どもはミッションではありません。人間にクローンがいないように、世界に1つだけの遺伝子を持ったオリジナルのオリーブということになります。

 

なので、写真のように1本1本葉の形や樹形が違うものになります。

 

ちなみに、ミッションもカラマタもハーディズ・マンモスも最初は、そのへんに勝手に生えた実生だったはずです。

 

勝手に生えて大きくなって、いつの間にか実がどんどん生りはじめたので、その木を挿し木で増やして果樹用の品種として育てていったのではないでしょうか。

 

ハーディズ・マンモスなんていうオーストラリアの品種は、たぶんハーディーさんところの庭に生えてきた、でっかい実がつくオリーブくらいの意味でしょう。たぶん。

 

 

2.ネットに書かれている種から発芽させる方法

オリーブのタネを蒔いて発芽させる方法をネットで検索すると、だいたい同じ方法が書かれています。

 

概ねこんな感じ。

 

果肉を取り除き、種の尖った部分をペンチなどで取り除き、種の長さ分くらいの深さに植えて、定期的に水をやり土を湿らせた状態をキープして発芽を待つ。

 

10年ほど前に2回ほどこの方法を試しましたが、ほとんど失敗しました。

 

この方法でも成功させる人はいますし、私も少しは芽が出たものもありましたが、この方法の欠点は、めんどうなわりに、ほとんどうまくいかない。

 

そもそもオリーブ農家のようにオリーブの実を収穫して生計を立てている私たちは、確実に実が収穫できる品種を挿し木にして苗木を作ります。

 

なのでタネを蒔き、実生を育てるのは新品種ができたらラッキーくらいの博打というか遊びです。

 

たまたま手に入ったオリーブの実を自宅で蒔いてみようという人も、それでお金儲けをしようとかとは思っていないと思います。たぶん遊び。

 

なので、あまり手間をかけずオリーブのタネから芽を出させる方法を知りたいのではないでしょうか。

 

 

3.種から発芽させるもっとカンタンな方法

オリーブの実生の芽

 

オリーブの実が手に入ったときに、その辺の地面に適当に蒔くだけです。

 

蒔くというよりスイカのタネを庭にプッと吐き出すくらいの感覚でポイと蒔いておくだけ。

 

果肉はついていてもついていなくても、尖った部分はペンチで切らなくても、季節はいつでも、庭がなければプチトマトか何かが植わっているプランターのそのへんにもでも、ポイと蒔いておくだけ。

 

何もしません。

 

ただし何もしないので蒔いたら忘れてしまいます。

 

蒔いてすぐに次の春に芽が出ることもあるし、何年か経って秋に芽が出てくることもあるし、そのへんは適当です。

 

でも、うまくいけば、ポイと捨てたオリーブの種からかわいい双葉の芽が出てきます。

 

芽が出たらラッキーくらいの気持ちが大切です。

 

植物のタネというのは、条件が合えば勝手に芽が出るように神様が作っています。余計なことはせずに、ある日、庭の片隅に生えてきたオリーブの木を見つけて驚きましょう。

 

 

4.少しだけ手間を掛けるときのコツ

実生のオリーブ

努力したい!発芽の確率を上げたい!そういう人もいます。

 

そういう人のために、少し上手くやるコツを書いてみます。

 

  • 熟れて黒くなった実の方が断然芽が出やすい。緑の実は、ほとんどうまくいきません。
  • タネを蒔くところは湿り気が多いところベター。カラカラに乾燥している土では発芽しません。湿ったところ、そして雨がかかるところに蒔いてください。日当たりはあまり関係なし。
  • 土をほんの少し掛けてやると若干発芽率が上がる気がします。しかし深植えは×。浅く
  • ペンチで尖ったところを切ったりタネに傷を付けるのはナシ。ほぼほぼ切ったところから雑菌が入り胚が腐ります。どうしても、それをやる場合は、消毒した土で水を頻繁に変える必要があります。
  • 肥料などはもちろん不要。発芽するまではタネの中の養分頼みです。
  • 人が踏みつける場所は避ける。同じ理由で犬や猫の通り道もダメ。

 

 

5.うまく芽が出たら

実生のオリーブ

芽が出たら、そこからは少し手間を掛けましょう。

 

芽が出た場所が日当たりがよくオリーブにとっての環境が良好で、そのまま大きな木になっても問題にならないようでしたら、そのままそこで育ててください。

オリーブの有機栽培農家が教えるオリーブを無農薬で育てる方法

 

オリーブの木は実生であっても、個体によってはどんどん大きくなります。大きくならない木もありますが。

 

しかし、大きくなってからの移植は大変です。小さい苗木のうちに、根をできるだけ傷つけないように、そっと抜いて、オリーブを植えれる場所、もしくは鉢植えなどに移し替えてください。

 

実生のオリーブ

 

うちは実生のオリーブがどんどん大きくなると困るので、地中ポットに移し替えます。

 

地中ポットというのは布製のポットで、水は通しますが根は通しません。地面に植えると、ポットのサイズに合わせて小さく成長しますが、地植えなので水やりなどはあまり必要なく手間が掛かりません。

 

写真のポットはこの後、地面と同じ高さに埋めてしまいます。

 

 

6.実生のオリーブの特徴

実生のオリーブ

これは実生のオリーブです。実生は世界に一つのオリジナルなので、1本1本全く違った個性を持っています。この木などは春になると黄色い花をような葉を付けます。でもオリーブ。

 

しかし、実生のオリーブは似た特徴もあります。

 

それは原種帰りする個体が多いということ。

 

オリーブが人の手で栽培される何千年も昔、北アフリカなど地中海沿岸一帯に自生していた野生のオリーブに近い形状に、ほとんどが戻ります。

 

つまり、地中海あたりに生えていた野生のオリーブが、突然、日本のベランダに生えてくるようなことが起きます。

 

野生のオリーブと人間が守り育ててきた果樹のオリーブの最大の違いは、野生のオリーブは、あまり実をつけないということ。

 

というより、野生の実生オリーブの中で、稀に生まれる実を沢山つける突然変異を人間が果樹として増やしてきたということです。

 

つまり、野生のオリーブは人間にオリーブオイルを与えるために存在していないので、自分が生き続けながら最低限の実を生らせます。

 

 

7.実生のオリーブは実をつけるようになるまで15年以上掛かる?

オリーブのタネは発芽しにくく、タネから育てた木が実をつけるようになるまでには、およそ15~20年かかります。

出典:「NHK趣味の園芸 よくわかる栽培12か月 オリーブ」

 

この内容は必ずしも間違っていませんが誤解を生んでいます。

 

15年~20年ほど実生のオリーブを育てればオリーブの実が収穫できるという意味に受け取られると間違いです。

実生のオリーブ

写真の木は実生のオリーブで樹齢20年以上です。そして、毎年、ほんの少し実をつけます。小豆島には、同様に何らかの理由でそのまま育てられている実生の木がありますが、ほぼ例外なく実は、ほんの少ししかつけません。

 

つまり、15年~20年経つと実をつけますが、実の量はほんの少しの場合がほとんです。

 

 

8.実生の中で実を沢山つける木の割合

実生のオリーブの実

この木は実生のオリーブですが、実が沢山ついています。

 

実生のオリーブ

この木も実生です。この木の実は超早生(わせ)で一般的な栽培品種より1カ月以上早く熟れ始めます。

 

うちには、実を沢山つける実生の木が3本あります。世界に1本しかないオリジナルの品種です。

 

3本は、芽が出てから3年から5年くらいで実をつけるようになりました。つまり、実をつける木はミッションやルッカのような果樹品種と同じように早い時期から沢山の実がつき始めます。

 

20年しないと実がつかない品種は、もし沢山実がついても、実を収穫するまでに時間が掛かりすぎるので果樹用の品種として栽培されることはないと言えます。

 

では、どれくらいの割合で収穫用の果樹になる木が発生したのか?

 

うちではこれまで約300本の実生をオリーブを育てました。そして3本。

 

1%

 

ということになりました。100本植えれば1本くらい。多いのか少ないのか分かりませんが10年やってみての結論です。

 

しかし、確率というのは不思議なのもで、1本だけ育てている人の1本目が当たりということもあります。100本、いや1,000本育ててもダメな場合もあります。

 

得てして、あれこれがんばって、どうしても自分の名前を付ける新品種で1発当てたいという人より、公園で拾ったタネをポイと庭に捨てたら薔薇のような香りがするオリーブの実が採れる木に育ってしまったみたいなことが起こりそうな気がします。

 

まあ期待せずにやってます。

 

 

9.実がつかない実生とのつきあい方

実生のオリーブ

農業で生計を立てている果樹農家でしたら実の収穫ができないオリーブばかりを育てるのはどうかと思いますが、自宅の観賞樹でしたら、実がつかなくても構わないのではないでしょうか。

 

しかも、その木は自分のところで偶然、タネから生まれた世界に1本だけの木ということであれば尚更かわいいと思います。

 

そして、実生のオリーブのもう1つの特徴は野生種に近いため葉が小さいものが多いです。

オリーブの盆栽

例えばこんな感じ。葉が小さいので盆栽などにすると世界観がぐっと広がります。

 

オリーブの盆栽

果樹品種のような葉が大きいと、ただ苗木を鉢に植えたようにしか見えませんが、小さい葉だと大木のように見せることもできます。つまり盆栽向き。

 

オリーブの盆栽

これなんかはハープのような樹形をしているお気に入りの一鉢です。

 

オリーブの盆栽

ぐっと近づくと、枝が何本も重なってタツノオトシゴみたいです。

 

 

実がつかないなら、つかないなりに、オリーブの盆栽を作ってみるなど、色んな付き合い方があると思います。生きている命ですから。オリーブですから、もしかすると千年も二千年も生きるかもしれません。

 

オリーブのタネを庭に蒔いてみる気になりましたか?

 

文筆 山田オリーブ園 園主 山田典章

 

 

“オリーブの種を蒔いて世界でただ1つだけの品種のオリーブを育ててみよう!” への5件のフィードバック

  1. こんにちは。
    「植物のタネというのは、条件が合えば勝手に芽が出るように神様が作っています。」との本文に共感しました。素敵ですね。
    去年、オリーブの種をまきました。入院していた病院の庭に植えてあったオリーブの種です。うまく発芽すれば私も元気になりそう、と思ってまきました。すると30粒中、19粒発芽しておどろきました。
    まさしく「芽が出たらラッキーくらいの気持ち」でしたが、かわいい芽に元気づけられました。
    今年は、貴社ホームページを見てまきました。種の先端をカットしたほうがいいのかわからなくて検索したところ、しないほうがよいと書かれていて納得しました。去年もカットせずとも大収穫でしたからね。
    今はすっかり体も元気で、ベランダのオリーブの苗が、成長していく姿を楽しみにしています。

    • こんにちは。

      あの肉厚でつるつるの双葉が地上に出てきたのを発見したときの嬉しさと不思議さは格別です。

      タネから出てきたオリーブは1本1本個性が全く違うので、大きくなっていく楽しみもありますね。

      育っていく様子またお知らせください。

  2. ありがとうございます。かわいい命が今年もベランダから生まれるといいなと思います。楽しみです。

  3. 初めまして。庭のオリーブの木二本【20年くらい経ちます】三年ほど前から、種がこぼれて二本〜三本ほど生えてきますが、葉が大きく違う木のように見えて、引き抜いていました。今年もまた生えてきてますが葉が大きいです。なぜ葉が大きくなるのか知りたくてさがしていたら、このページに行き着きました。今年は引き抜かずに育ててみようと思います。

    • 加藤様
      実生は1本1本全く違う品種なので色んなオリーブが生まれてきます。でも、原種帰りするものが多く、ほとんどの実生のオリーブの葉は小さいものが多いです。大きい葉はとても希少なので、もしまた生えてくるようなら是非育ててみてください。

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