オリーブの実を収穫するためのシンプルな剪定の考え方
オリーブの実を収穫するための剪定方法を聞かれることがある。オリーブの実を収穫してそれで生計を立てているオリーブ農家なので、もちろん実を少しでも多く収穫するためにはどんな風に剪定したらいいか考えている。考えているどころかあーでもないこーでもないと考え続けている。
オリーブの本などを読むと、とにかくオリーブは剪定した方がいいと書かれていることが多い。その本の情報を元にネットでも記事が書かれるので、日本語で読める情報のほとんどがどんどん剪定しましょうという説が主流になっている。
しかし、オリーブ農家のようなプロでなければ、つまり庭で観賞用にオリーブを育てている素人が実を収穫したいのなら、剪定しない方が実を収穫できる確率が上がる。
オリーブはある程度育って環境さえ合って近くに違う品種の木が植わってさえいれば実を付けようとする。実生でなければ何もしなくても実を付けようとする品種のみが売られている。
なのでまずは切らない。余計なことはしない、これがオリーブの実を収穫するための最もシンプルな剪定の考え方。
切らずにそのままオリーブを育てているとオリーブはどんどん大きくなって脚立に乗っても届かないくらいの高さに実が付くようになるから、そしたら1~2mの高さまでバッサリ切り戻す。葉なんてなくなって丸太が突っ立ってるみたいになるだろうけど、また3年もすれば葉が茂り実が生りだす。
毎年、丁寧に剪定しているけど、実が付かないという人はぜひ切るのをやめて2年待ってみる。
実を採りたいけどどうしても剪定したいと言うマニアなら、受粉が終わって実が付いた後に、実がついている枝は残すように剪定してみたらどうだろう。どういう枝に実が付いてどういう枝に実が付かないのか勉強になる。
オリーブ農家は裏年表年による収穫量の増減を少なくしたいし、何より1粒でも多く実を採りたいのであれこれ細かく剪定しているが、残念ながらその手間分のリターンがある農家はほとんどいない。
本には剪定方法をあれこれ細かく書いたが、ひとまず剪定など余計なことはせず木を信じて待ってみるというところから始めてみることをお勧めする。
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文と写真 山田典章
オリーブ専業農家。香川県小豆島の山田オリーブ園園主。1967年佐賀県生まれ。岡山大学農学部を卒業後、会社員時代の約20年間に保育園事業などの6つの事業に携わる。2010年に小豆島に移住し、子どものときに好きだった虫捕りが毎日できる有機オリーブ農家になる。好きなものは虫と本と日本酒。オリーブ栽培としては初の有機JASに認定される。山田オリーブ園ではオリーブや柑橘類の栽培、加工、販売を行う。
著書 これならできるオリーブ栽培 ~有機栽培・自家搾油・直売~
(出版社コメント)
オリーブをうまく育てるには? 経営として成り立たせるには? ~栽培から自家搾油、販売まで著者の経験を詳しく解説!~
手間いらずで儲かる新品目として注目されるオリーブ。しかし、「木が枯れてしまった」「何年たっても実がならない」「オイルの搾り方がよくわからない」といった声も。
本書では、脱サラで新規就農し、日本で初めてオリーブ栽培の有機JASを取得した著者が、確実に実をならせるための栽培のコツや病害虫対策、小規模な自家搾油所の作り方と搾油方法、ネット通販などのノウハウを丁寧に解説。
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これからオリーブを栽培したい人、すでに栽培している人にも、ぜひおすすめの一冊。
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