有機栽培でバラを育ててみた。
小豆島のオリーブ畑でバラを一緒に育て始めて3年目。無農薬、有機栽培でバラを育てる難しさに打ちのめされながらもローズオリーブオイルの試作品を作るところまできました。これからも失敗しながら、あきらめず国産の有機バラを栽培し続けようと思います。
これまでの3年間を振り返りました。
2017/05/03 バラの苗木をオリーブ畑に植えてみる
この春は開墾しなかったので、オリーブ以外の果樹や野菜など新しい農産物の栽培ができないか考えていた。 今年植えたのは柚子やアボカドなど。 食べれるもの、有機栽培で育てられそうなもの、オリーブと栽培環境が近いもの。
そういえば大好きな本Dr.真島のバラの診察室を思い出す。バラ植えてどうなるかなどは分からないし、そもそも有機栽培で育てられるかどうかも分からないけど、きれいでいい匂いがするバラが畑に咲いたら、それだけでいいか。
すぐに畑に植えてしまうのは怖いので、小さな新苗を畑の隅で地中ポットに入れて植えてみる。
オリーブ畑でのバラの有機栽培始まる。
2017/06/13 第3のゾウムシ登場
1週間程前からバラの新芽が萎れ始める。
水は定期的にやっている。
しかもいくつもの苗で新芽や花芽が折れたみたいに垂れてくる。 とにかくじっと観察すること2日。
萎れた新芽の近くで何やら動く小さな虫発見。何匹もいるが捕まえようとするとぽろっと落ちて見失う。ようやく1匹を手のひらに落として持ち帰る。
これ。五円玉の穴の中のやつ。ちなみにそれを眺めている大きいやつは僕の長年の友オリーブアナアキゾウムシ。
この怪しいやつ、なんと長い鼻がある。ゾウムシ???
なんとその名も「バラゾウムシ」正式名称は「クロケシツブチョッキリ」!
第3のゾウムシ登場。
オリーブにはオリーブアナアキゾウムシ。
アーモンドにはモモチョッキリゾウムシ。
そしてバラにはバラゾウムシ。
この世はゾウムシに溢れている。
さて、この小さい小さいゾウムシから大切なバラをどう守ろうかそもそも守れるのか。
2017/09/08 バラゾウムシ恐れるに足らず
クロケシツブチョッキリことバラゾウムシと1年ほど格闘してみての感想。
バラゾウムシそんなに恐れるに足らず。
最初のうちは、早朝、萎れた葉先や蕾の下の方をじっと見て、バラゾウムシを発見したらぽろっと落ちてしまうところをキャッチしたりしていたが、そのうち気づく。
そんなに大したことない。
春先には新芽を枯らしてしまうこともあるが、気温が上がりクモなどのゾウムシを食べる天敵が増え始めるとそれほど被害が目立たなくなる。また、バラ自体の勢いも強まることで少々食われても、食われた枝の伸長がとまるくらいで大勢に影響なし。
オリーブを畑ごと何百本も枯らしてしまうオリーブアナアキゾウムシやアーモンドの実を数千個食いつくしてしまうモモチョッキリゾウムシに比べると全然問題なし。
ということで、今はバラゾウムシは益虫たちに任して何もしないことにしている。
2017/07/19 チュレンジバチという害虫
バラゾウムシの被害が減ってきたら、今度は小さな青虫が集団で葉をどんどん葉脈だけにしてしまう食いっぷり。
青虫をプチプチ潰していたのだが、こういう場合はオリーブアナアキゾウムシと同じく産卵しにくる成虫をやっつけたい。
今日、ようやく発見。
青虫軍団を産む母虫、オレンジ色のチュウレンジバチ。
産卵中は注意力が削がれるらしく、簡単にプチっと潰せる。
現在のところバラの最大の害虫はこのチュウレンジバチの青虫たち。
すさまじい食欲で、若木などは葉の半分ほどもなくなってしまうようなこともある。
バラの木自体を枯らしてしまうことはないので、とりあえず1週間に1回ほど見回りをして、全て手で潰すというのをルーティンにしている。
その昔、オリーブに付くハマキムシ数千匹を一日中潰して、手が緑色になっていた頃に比べると大したことない、と思う。
2017/08/12 ベニシアさんとバラの話し
先日のこと。
京都の大原からベニシア・スタンリー・スミスさんがうちを訪ねてくれました。
畑にやってくるゾウムシたちのこと、ベニシアさんが昔暮らしたスペインで出会ったオリーブのこと、お母さまが好きだったアーティチョークのこと、旦那様と小豆島の縁のこと、ミツバチと地球環境のこと、オリーブオイルの香りのこと、大原での最近の生活のこと、たくさん話しをしました。
その中でもベニシアさんが一番熱く語ってくださったのがバラのこと。ベニシアさんの日本のバラのお師匠さんがどんなに丁寧にバラを育てているかということをオリーブの話しそっちのけで話してくださる。バラって特別な存在なんだろうなということがひしひしと感じられて、うちのバラももっと大切にしないとな、と反省しきり。
もしかするとイギリス人にとってのバラは、日本人には想像ができないくらい何か大切なものなのかもしれない。
ごめんなさい、うちの自由なバラたち。
2017/09/10 バラにはまっていく
1冊の本との出会いから始まったバラ栽培。
またバラの苗木を買ってしまった。
明日どこの畑に植えようか?
今年の春からバラの有機栽培に挑戦し始めて、その難しさ故にどんどんハマっていっている気がする。
虫にも病気にも弱いけど、そのハードルの高さに、ずぶずぶとはまっていく。
ネットで調べてみると国内で有機バラの栽培をしている会社というか農家は1軒しか見つけることができなかった。
オリーブ同様ハードル高いのかもしれない。
目指せ有機バラ農家ということで、このバラの苗は趣味ではなく仕事だと嫁さんに言い張っている。
2017/09/25 バラが咲いた
春に植えたバラが咲いた。感動。
バラというのは何か不思議な魅力というか色気のようなものがあって、育て始めるとあれこれとしてやりたくなる。
なんかオリーブたちに冷ややかな視線を向けられているような奇妙な気配を感じつつ、それでも虫が葉を食えば潰し、土が乾いたら水をやり、元気がなければ堆肥をやると、甲斐甲斐しく世話を焼く。
木を大きくしたいので蕾ができてもマメに摘果していたのだが、花を見たいという欲望が抑えられず少しだけ蕾を残す。
なんだろう。
とてもいい匂い。
バラの有機栽培って、ちょっと変にテンション上がって困る。趣味だけど。
2017/12/11 趣味を仕事に
オリーブの収穫中は世話せずにほっとかれてしまったバラが、この寒空にひっそり咲き始めた。
これは真っ白なアイスバーグ。優しくて甘い香り。
冬になって、ようやくチュウレンジバチの猛攻も収まりほっとしているのようにも見える。
これまで、有機栽培でオリーブや柑橘類を育ててきたけど、バラを無農薬、有機栽培で育てるのは、もうひとつ難易度が高いということを思い知らされた1年だった。
それでもバラの花を見ると、うれしくなるから不思議。
バラとはもっと長くつきあっていきたいので、このへんで趣味から仕事に変えようと思う。
日本で有機バラの栽培をしている会社をネットで見つけていたので、そこの社長さんにアプローチ。
フロンティア蓼科というバラを有機栽培で育てている化粧品の会社。
これから作ろうとしている化粧品の1つに国産の有機バラを使えないか。
いつか自分の手で有機栽培で育てた大切なバラとオリーブだけで作ったスキンケアオイル作ろうと思う。
2018/03/01 国産有機オリーブと有機バラだけで作った化粧品
フロンティア蓼科さんと国産有機農産物100%のオーガニックスキンケアオイルの製造プロジェクトを始めて4カ月。
生命力溢れる小豆島産オーガニックオリーブオイルと長野県産有機バラ、熊本県産有機甘夏ネロリを使用したスキンケアオイルが国内で始めて誕生。
お肌に直接つける化粧品だからこそ農薬を使用していない本物の植物由来成分100%のオーガニックオイルです。
バラ栽培を始めて2年。ようやく1つ形になりました。まだ自分が育てたバラではないので、ここからようやくスタートかな。
2018/04/24 バラの朝摘み
朝の見回りが終わるころ雨が降り出す。
暖かい雨。 妙見さんの畑で育てているバラたちの開花が始まる。
スキンケアオイルの原料として見回りの最後にバラの花の収穫。
ゾウムシハントとはまた違った楽しみになりそう。
2018/05/10 バラの花を食べてみる
バラを育ててみて初めて知ったのだが、バラの花ってけっこう虫が食べる。
おいしいのかもしれない。
一応食べてみると、いい匂いはするし、柔らかくて、ほんのり苦みがあって、食べれると言えば食べれるかな、というくらい。マヨネーズかけると美味しい。
塩とオリーブオイルでもいいな。何せうちにはオリーブオイルは沢山あるし。
2018/11/08 食用の国産有機ローズオリーブオイルを試作する
今年、収穫して冷凍保管していたうちのバラの花をまずは細かく粉砕する。
そしてオリーブの実に練り込み搾油。
国産有機ローズオリーブオイルの試作品第1号。
いつものことながら最初の試作品は緊張する。
香りを嗅いで口に含む。
うーん。
うすい・・・バラの香りがほんのりというよりうっすらという感じ。
そう簡単にはいかないね。失敗、残念。
化粧品のように乾燥バラをオリーブオイルに漬け込むという手もあるんだけど、商品化にはもっともっと失敗しないといけない。
時間を掛けて進みましょう。
□
文と写真 山田典章
オリーブ専業農家。香川県小豆島の山田オリーブ園園主。1967年佐賀県生まれ。岡山大学農学部を卒業後、会社員時代の約20年間に保育園事業などの6つの事業に携わる。2010年に小豆島に移住し、子どものときに好きだった虫捕りが毎日できる有機オリーブ農家になる。好きなものは虫と本と日本酒。オリーブ栽培としては初の有機JASに認定される。山田オリーブ園ではオリーブや柑橘類の栽培、加工、販売を行う。
著書 これならできるオリーブ栽培 ~有機栽培・自家搾油・直売~
(出版社コメント)
オリーブをうまく育てるには? 経営として成り立たせるには? ~栽培から自家搾油、販売まで著者の経験を詳しく解説!~
手間いらずで儲かる新品目として注目されるオリーブ。しかし、「木が枯れてしまった」「何年たっても実がならない」「オイルの搾り方がよくわからない」といった声も。
本書では、脱サラで新規就農し、日本で初めてオリーブ栽培の有機JASを取得した著者が、確実に実をならせるための栽培のコツや病害虫対策、小規模な自家搾油所の作り方と搾油方法、ネット通販などのノウハウを丁寧に解説。
とくに、日本のオリーブ栽培で最大の難関となるオリーブアナアキゾウムシ対策は必見。昆虫少年だった著者が観察と実験を繰り返して、明らかにしたその生態をもとに、農薬を使わなくても、効率よく確実に被害を防ぐ方法を紹介。
まだ木が小さく実の収量が少ない時期の貴重な収入源になるオリーブ茶の作り方や、苛性ソーダを使わない安全な実のアク抜き法、ワイン漬けなどのおいしい実の加工品の作り方も多数紹介。
これからオリーブを栽培したい人、すでに栽培している人にも、ぜひおすすめの一冊。
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