小豆島のオリーブ農家が実際にやっている収穫(手摘み)の方法
山田オリーブ園で毎年最初に収穫する品種は、塩漬けなどのテーブルオリーブ用のマンザニロ種です。マンザニロ種は、まん丸の実を鈴なりに付けてくれます。
ちなみに小豆島のマンザニロの収穫時期は10月1週目頃。実の色は真緑が、うっすらと黄色が入ってきたような色合いがベストタイミングです。
実を選別しながら採りたい実だけを1粒ずつ収穫する方法と、全ての実を収穫してから作業所で選果する方法の2つです。
一般的な農家は、作業効率が良く、選果の精度が高い後者のやり方しています。
実際の収穫の様子です。
- まず、収穫する枝の元を片手(動画では右手)で固定して、これから採る実全体を見えやすい位置に持ってきます。固定しないでそのまま引っ張ると枝が弾んで次の実が採りにくくなったり、枝が折れたりします。ポイントは両手を使うこと。
- 次に、枝の元から先に向かって手のひらで一度に掴める塊りごとに、そっと掴み枝から離します。手の中に落としていくイメージです。
- 手のひらに入れておける量が一杯になったら収穫袋に移します。
- 目線は基本摘む実を見ながら、次に摘む実を探します。
収穫用の袋は市販の山菜採りの袋をうちでは使っています。小豆島の農家は手づくりの口のところに丸枠がある入れやすい大きめの収穫袋を使うことが多いです。
摘んだ実はコンテナに移します。
コンテナは市販のもので、洗える素材で、風通し良いものであれば何でも構いません。
この黄色い一般的なコンテナを持ちての穴の下まで一杯に実を入れると、だいたい20kgほどになります。
収穫時期の間、ずっと20kgの実が入ったコンテナを運ぶことを考えると、重くて長持ちする頑丈なコンテナより安くて軽いコンテナがお勧めです。
次は選果です。
選果は、その後の使用目的に合わせて実を分けていく作業です。
収穫した実 → 炭疽病や大きな傷(虫食い)がある実 → 小さな傷がある実 →きれいな実 → 熟度ごとに分ける。
どこまで細かく分けるかは使用目的によります。
選果は畑でやる場合と作業所でやる場合があります。畑での選果は基本的には炭疽病などがほとんどないような簡単でスピーディーな選果向きです。
落ち着いて、きちんとした細かい精度が求められる選果は作業所でやります。
この選果は塩漬け用の実を選ぶために、3つに分けています。
①炭疽病や大きな傷がある実(足元のバケツに捨てています)→破棄
ポイントは全面をチェックすること、落としたりぶつけたりして傷を付けないことです。そして早く正確に。ちなみにこのレベルの選果は収穫と同じ時間が掛かります。1時間に選果できる量は2~3kg前後です。
今回は4人で5時間掛けてマンザニロの実を50kg収穫しました。
右の黄色いコンテナ約21kgは塩漬け用、左のオレンジ二つ26kgがオイル用、左下のバケツ3kgは破棄。
小豆島のオリーブ農家が実際にやっている収穫の方法をご紹介しました。ひたすら早く正確に丁寧に実を摘み続けていると頭が空っぽになって、ある瞬間を超えると何ともハッピーな気持ちになれます。自宅のオリーブを1年に1度無心になって収穫してみてはいかがでしょう。
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文と写真 山田典章
オリーブ専業農家。香川県小豆島の山田オリーブ園園主。1967年佐賀県生まれ。岡山大学農学部を卒業後、会社員時代の約20年間に保育園事業などの6つの事業に携わる。2010年に小豆島に移住し、子どものときに好きだった虫捕りが毎日できる有機オリーブ農家になる。好きなものは虫と本と日本酒。オリーブ栽培としては初の有機JASに認定される。山田オリーブ園ではオリーブや柑橘類の栽培、加工、販売を行う。
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