山田オリーブ園 国内で初めてオリーブの有機栽培に成功しました。

「これならできるオリーブ栽培」ができるまで

 昨日、出版される本が手元に届く。出版社の人から本を出さないかと言われたのが昨年の4月だったので1年くらい掛けて書いたことになる。そこで、この機会に本ができるまでのことを書いてみようと思う。

 

 きっかけはブログの記事の書き方を変えたこと。小豆島に移住してオリーブ農家になってから8年間ほどは毎日、その日にあったことなどを散漫に書いていたのだが、サイトを作る会社から読まれる記事を書かないと、あまり意味がありませんよといきなり電話で教えられる。書きたいことを書くのでなく、読みたいと思われる記事を長文で書かないとグーグルの検索順位が上がりませんよという身も蓋もないアドバイス及びサイトを作り直しましょうかという営業。じゃあこの8年間毎日書き続けた労力は何だったんだとショックを受けるが、後悔していてもしょうがないので読まれる記事をアップしようとサイトを作り替えたのが2年前の2018年。

 

 

 

 

 

 どんな記事を書き始めたかというと例えばこんな記事。

 

 

 

 こんな記事を、2018年の夏、日中の畑仕事ができない時間にひたすら書き続けていた。多分30くらい。これまでの8年間に試行錯誤してきて毎日のブログにアップしていたことを、誰かの役に立つように書き直すという作業。

 

 そして、たぶんこのブログを見て、昨年2019年の春に農文協の編集の人が畑にやってきて本を出しませんかということになったと思う。しかも、ライターさんに書いてもらう監修という形ではなく自分で文章を書いて、これまで撮った写真を使うことを提案される。自信はなかったけど、最初に編集者から言われた本のタイトル「オリーブ栽培の実際」だったら、ノウハウや正解を書くのではなく実際に体験したことを書けばいいので何とかなるかと受けてしまう。

 

 ちなみに書きあがった後に出版社の会議で「これならできるオリーブ栽培」というタイトルに変更されることになり、本当に大丈夫だろうかと不安になる。確かに「オリーブ栽培の実際」より「これならできる」の方が役に立ちそうなので本は買ってもらいやすいとは思うが、毎日、全部の木の見回りをするオリーブの有機栽培は果たして誰でもできるのか?と思わないでもないけど、実際やっている人たち(小豆島の高野さん夫婦山梨の湯浅さん夫婦)も知っているので、まあそこは読者次第ということに。

 

 2019年の春に編集者と章や項目を仮決めして、草刈りに追われる梅雨頃は手が付けられず、実際に書いたのは真夏の1ヵ月くらい。ブログと同じで炎天下で畑仕事ができない時間に書き始める。編集者に言われた文字数は約10万文字で写真180点くらい。10万文字って400字詰め原稿用紙で250枚、そんなに書けるのかと途方に暮れるが、とりあえずあまり深く考えず1行1行書いていく。

 

 結果、最初にできあがったワードの文字数は16万文字。ブログのように何も考えず書きたいことを書くのは簡単だけど、本当に大切なことだけを残すために6万字を削る作業は大変だった。しかも、もたもたしていたら秋の収穫が始まってしまう。そこで、誰かから聞いただけで自分が体験していないことは基本全部カットし、うまくいった方法だけを残しその方法にたどり着くまでに沢山の失敗は少しだけコラムとして残し大部分は泣く泣く削る。本当は役に立たない失敗こそ農業の醍醐味なので、例えばゾウムシが冬眠することを知らず冬の間中見回りを続けていたことや、畑を芝で覆ってオリーブを弱らせてしまったことや、夫婦でずっと一緒に仕事をして距離感がおかしくなってしまったことなど、役に立たない話はボチボチとブログに書いてみようと思う。

 

 収穫前に出版社に原稿を送り本の作業は休眠状態に入る。収穫と販売が終わった2020年の冬の農閑期に、また役に立ちそうなブログの記事を書こうかとパソコンに向かうが、書くという気持ちが燃え尽きたのか、1文字も書きたくなくなってしまう期間が長く続く。ようやく最近少しずつブログ書けるようなったけど。

 

 その頃から初校、再校が始まり、自分が書いた文章を読み直す。読み直す度に、例えばゾウムシの幼虫が食害する木の部分の表現や搾油の段取りなど、本当に大丈夫だろうか心配でたまらなくなるが、最後は開き直り校了。ちなみに、僕は会社に入って最初に作った幼児向けの販促教材で34ヵ所の誤字誤植を出すという当時の事業部での最悪の記録保持者なので、文字校正などは全くできない。そこは完全に編集者と校正者にお任せ。

 

 これならできるオリーブ栽培~有機栽培・自家搾油・直売~/山田典章 著/出版 農文協

 表紙の絵は、うちのオイルなどのイラストとデザインを最初からお願いしていたオビカカズミさんにお願いしオリーブの畑に暮らす沢山の生き物を描いてもらう。左の表紙は秋のオリーブ畑様子、右の裏表紙は春の様子。ちなみにオリーブの木の下でテーブルを囲む家族の様子は昔のことで、ここ数年、中学生になった息子が畑に寄りつくことはないので、そこはこの本の唯一のフィクション。

 

 さて来週の8日には本屋さんに並びます。並ばない本屋さんもあると思うので、よろしければアマゾンでご注文ください。既に予約の注文を受け付けているようです。

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 生まれて初めて印税をもらえるようです。印税が入ったら、先日突然もらった10万円と合わせて、これまで行ったことがないイタリアもしくはスペインのオリーブ畑を見に行こうと企んでいます。ご支援いただいければ、海外のオリーブ旅行記をブログにアップすることをお約束します。興味ないww勝手に行けと言わず、何卒よろしくお願いします。

 

 

 

“「これならできるオリーブ栽培」ができるまで” への2件のフィードバック

  1. いつも拝見し、勉強させていただいております。
    滋賀にて、オリーブで町を元気に!と考えています。
    ぜひスペインやイタリアのブログ期待しています!
    予約させていただきます。

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