山田オリーブ園 国内で初めてオリーブの有機栽培に成功しました。

たまには有機の話しでも

冬のオリーブ畑

忙しい年は、剪定枝を焼却場に持ち込んでお金を払って燃やしてもらうのだが、今年の冬は比較的時間があるので剪定した太めの木は畑の隅に積み上げたり組み合わせて立てて乾燥させ、葉は畑に撒いて堆肥化している。

 

オリーブを育て始めた頃は、オリーブの葉や刈った草を積み上げて米ぬかを混ぜて発酵用の菌を入れて水を掛けシートで覆いときおり混ぜて堆肥を作っていた。しかし、雑草を生やしている草生栽培の畑ではそんな手間の掛かることは一切必要ない。刈った草はそのままにして剪定したオリーブの葉は地面に落として置けば、数か月もすると雨の温度変化と虫と菌類によって肥えた有機物になって土に還っていく。

 

草を集めて運ぶ必要もないし、水をやる必要もないし、菌も買わないし、できた堆肥を撒く必要もない。市販の堆肥を買う必要もない。全部、畑が自然にやってくれる。いいことばかりのように思えるが、実際は土に還りにくい太めの枝は草刈りの邪魔になるので取り除き適度な大きさに切り分けて乾燥させる手間が掛かるし、葉を早めに土に還すには枝をある程度細かく裁断しておく必要がある。つまり剪定鋏で裁断するための手間が掛かる。

 

人件費に換算した手間と堆肥や肥料を買う値段を比較すると買った方が安い。

 

毎月1回以上定期的に草を刈る人件費より年に3回除草剤を撒く方が安くつく。オリーブアナアキゾウムシを毎日見回って手で捕るための人件費より、1年に3回農薬を買うお金と撒く手間の方が安くつく。

 

つまり有機栽培は、エコだし、温暖化を抑制できるし、SDGsなんかではあるが、相対的に慣行栽培よりもお金が掛かる。農家の手間という人件費。スーパーに並んでいる有機JASマークが付いた野菜の値段がそうではない同じ見た目の野菜に比べていくらぐらいまでだったら高く買ってもらえるだろうか?

 

農薬を使っている慣行農家から否定されることがある。オリーブの業界でも最近は特に。有機栽培だからと言って美味しい訳でも健康に良い成分が多い訳でもないのに高い値段で売っているのはおかしいという理屈が最近の主流。その通り。味とかポリフェノールの量とかは有機栽培かどうかで変わるものではない。たぶん甘いイチゴもトマトも有機栽培では作れない。

 

有機栽培に挑戦する新規就農者の大部分が「少しでも安くておいしいものを食べたい」という日本人の絶対的な価値観の前に打ちのめされて離農していく。北の国からというドラマが好きだったが「’98時代編」で有機栽培を始めた畑で病気が発生したのを知ったソウタ兄ちゃん(岩城滉一)が他人の畑に勝手に農薬を掛けるシーンを、こういう田舎あるある大変だなと呑気に観ていた。20年以上も経ったはずなのに日本では同じ状況が続いている。ちなみに農水省の最新データだと2017年の有機栽培農家は全体の0.2%。

 

新規就農者の多くが有機栽培を選択肢の1つに入れるのに実際に日本に存在している有機栽培農家は1,000軒のうち2軒である。新規就農者は、理想や夢はいったん置いといて有機栽培が現状の日本でビジネスとして成立しにくいということを理解しておかないといけない。とても残念だが。最近ではドローンに農薬積んだソウタ兄ちゃんがスマート農業という名の元、どんどん増えつつある。担い手が減る一方の農業界では手間を減らす効率化と安くてうまいものを求める消費者のニーズこそ正義なのだから仕方がない。

 

まあ誰に頼まれた訳でもないけど有機を続けていく。地球を救えるかどうかは知らんが、あまり知られていない有機でしか味わえない面白さがこの農法にはある。デメリットもあるがメリットもある。ちなみに農薬や化学肥料を一概に否定している訳でもない。ただ同じように農薬でも化学肥料でもそれぞれのメリット、デメリットを知った上で使うべきだし、最低でも農作物ごとに使用頻度や濃度、時期などの使用方法は守られるべきだと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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