山田オリーブ園 国内で初めてオリーブの有機栽培に成功しました。

たまには映画でも

オリーブ畑

2021.2.9 多度津のオリーブ畑から瀬戸内海を見下ろす。

 

この一週間は小豆島を出てよそ様のオリーブ畑を見せてもらったりイタリアの大学の先生の搾油の講習を受けたりしていた。オリーブの話しは貴重なノウハウなのでここで書くことは控える。何にせよ新しいアイデアをもらえたので試してみたいことがいくつかできた。

 

オリーブ以外のこと。高松に渡ったので2回映画館に行った。

 

高松駅で自転車を借りて10分くらい海沿いを東に行くとイオンシネマがあるのでエヴァンゲリオンを観に行ったのだがやってなかった。せっかく来たので福田雄一監督の三国志を観る。福田監督は好きだし三国志マニアなので一石二鳥かと思って観たのだが結論から言うとイマイチ。たぶん観る側の三国志愛が強すぎるとダメかもしれない。

 

2回目は昨日。講習前に時間があったのでまた映画館へ。鬼滅やプペルは興味ないので、「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」「カルテット」の坂元裕二氏の脚本に惹かれて「花束みたいな恋をした」にしてみた。おっさんが一人で昼間から窓口で「花束みたいな恋をした一枚ください」というのには勇気がいったが。

 

あらすじは、大学生の菅田将暉演じる麦と有村架純演じる絹が映画や本の趣味が合うことで魅かれ合いつきあって同棲するが、大学を卒業し社会に出ていくうちにすれ違い始め最後は分かれるという普通のお話し。あらすじはありきたりだけど観るにつけもやもやしてざわざわする映画だった。

 

終電を逃してたまたま一緒に喫茶店に入った知らない者同士の4人が好きな映画の話しになるのだがサラリーマン風の別々の男女が上げた「ショーシャンク」と「魔女の宅急便」しかもジブリでなく実写版と後で麦と絹が笑うシーンがある。いわゆるメジャーを笑い、偶然同じ店にいた攻殻機動隊の押井守に気付いた二人は人とは違う自分たちを特別な存在だと思えているあたりもむずがゆくその世界に引き込まれてしまった。平たく言えば大学生ならではのモラトリアムあるあるだけど。

 

しかも明大前や調布へ向かう夜道や多摩川が見えるアパートなど自分も暮らしてきた街並みが映し出されると懐かしくなるし、まあ天竺鼠、穂村弘、今村夏子やらゴールデンカムイあたりが刺さってしまいいつの間にか映画の世界に感情移入してしまう。

 

社会人になった麦は普通に仕事で消耗していくが、緩めの仕事に就いた絹はこれまでとあまり変わらず本や漫画を楽しんでいるあたりからすれ違いが始まっていく。象徴的なシーンが本屋で二人が好きだった作者の本を見つけた絹が麦にその本を見せようと近づくと麦くんドストレートのビジネス本を読んでいて話しかけられなかったみたいなの。

 

結局、すれ違いが重なり5年間という時間のうちに気持ちも離れてしまい最初の頃から通っていたファミレスで別れ話になるが、それでも別れずに結婚するのはどうだろうという麦の提案も無理を感じ、結局は別れてしまう。映画館を出てぐったりしてしまいオリーブオイルの講習なんてどうでもよくなってしまった。まあそれはそれとしておじさんなので気を取り直して行ったけど。

 

あのファミレスで二人とは違う結論を出してそろそろ30年。これは自分のこと。花束みたいな恋の「花束」って何だろうと考えながら島に帰ってくる。農家になったから特にそう感じるのかもしれないけど、やはり花束の花は根から切り離されて死んだ花、もしくは枯れる前の最後の輝きなんだろう。パッと咲いてパッと散る前の一瞬を切り取る花束みたいな恋から、畑に植えて何年も世話をして毎年、春と秋に花を咲かせてくれる植木を育てる暮らしに変わる前の輝きみたいな映画だったのかもしれんと珍しくマジメに考える。

 

菅田将暉と有村架純が出ている少女漫画実写化恋愛映画だろうと舐めてかかってカップルで観にいくと気まずくなるのでやめたほうがいい。それにしても「東京ラブストーリー」の脚本家坂元氏の現役感にはまいる。ひとまず映画週間終わり。

 

 

 

 

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