山田オリーブ園 国内で初めてオリーブの有機栽培に成功しました。

これからのこと2回目「小豆島の人口推移と港問題」

小豆島に移住して12年目。小豆島でオリーブ農家になりたいという目標は叶ったので、そろそろこれからどうしようか?を考えるタイミング。そのためにも、まずは自分を取り巻く環境がどうなっていくのかを予想してみたい。

 

まずは住んでいる小豆島のこと。瀬戸内海の真ん中にある香川県の離島、小豆島。この島のこれからを予想するのに最も分かりやすい数字が人口の推移。

 

「総務省 国勢調査及び国立社会保障・人口問題研究所 将来推計人口、総務省 住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数を基にGD Freak!が作成」のシミュレーションを参考にしてみた。

小豆島人口シミュレーション2000年~2045年

僕が移住してきた2010年時の人口は約31,275人。これが10年経った2020年には26,000人くらい。くらいというのは土庄町の最新の数字が見つからなかったので豊島の人口を除いた推計値。

 

10年で83%の約5,000人の減。1年に500人くらい減っている。ちなみにこの10年くらいは移住者が毎年200人近く増えていた期間。

 

上記グラフの実績と今後の概算予測。

2000年 36,000人

2010年 31,000人

2020年 26,000人

2030年 22,000人

2040年 17,000人

 

自治体の移住者促進やコロナ禍や大規模な災害などによる島外の今後の事象によって減少がもう少し緩やかになる可能性もあるし、島での災害や高齢者の増加に伴う自治体財政の逼迫などによる公的インフラの崩壊などにより逆に減少がもっと急激に起こる可能性はある。しかし、そのあたりは予測できないので、ひとまず自然減、社会減などで毎年500人ずつくらい減っていくとすれば、今から25年後の2045年には15,000人、35年後には10,000人、55年後にはゼロになる。無人島にはならないと思うけどそれに近い人数。

 

小豆島の現状の公と民のインフラ、1つの中核病院、1つの高校、2つの中学校、5つの小学校、2つの大きなスーパーと2つの中くらいのスーパー、2つの大型電気店、1つのホームセンター、6つのコンビニ、7つの港。その他ドラッグストアやディスカウトストアが5つくらいある。だいたい3万人の人口で何とか回っているが、今後人口が減るに従って官民のインフラも自然に減っていく。

 

今から20年から30年のうちに、人口が半分の15,000人になるのでインフラも半分になるとすればこんな感じだろうか。

 

1つの自治体

1つの病院(診療科目は半分くらい)

1つの高校

1つの中学校

2つの小学校

1つの大きなスーパーと1つの中くらいのスーパー

1つの中型電気店

1つの小型ホームセンター

2つの港

 

スーパー、コンビニ、ドラッグストアあたりがどうなっていくかは分からないけど規模的には人口に比例する。もしくはネット通販の更なる浸透や無人店舗など地方の小売店の業態が変わっていく可能性もある。このあたりの民間店舗の縮小や業態転換はあまり心配しなくて大丈夫だと僕は楽観視している。個人的には農業、食品加工、販売の仕事をしているのでホームセンターのダイキが残ってくれたらありがたい。

 

しかし、これだけ人口が減って多方面に齟齬が出始めているのに、未だに小さな島に土庄町と小豆島町二つの自治体があり、1つにできない官の今後の方は不安が大きい。ちなみに官の問題というが、役場で働いている公務員の資質の問題というより、その役人の合理的な判断や行動を阻害している島に住む大人たちに問題があるように余所者からは見える。地元のおじさんたちと話していると、自分たちとは別の国の人を呼ぶように、土庄のもんはとか、池田のもんは、という言葉をよく聞く。土庄や池田のおじさんたちは、逆に内海のもんと言っているのだろう。多分、僕は昔は山だった田舎の西村に住んでいるヘンな移住者といったところだろうか。もちろんあまり好意的な文脈では使われていないことは容易に想像できる(笑)

 

今後何十年も一貫して若者の労働人口は減り続け、65歳以上の高齢者が占める割外が増え続ける。高齢者比率が多く香川県下でワースト1,2の個人所得の産業しか持たない小豆島は、全国平均よりも早い時期に、更に税収が減り、医療や介護費などは増大して自治体の財源が当たり前に逼迫していく。たぶん問題なのは、これらの傾向は日本全体の問題ではあるけど、その危機が他よりも早く始まるため、国の制度改変に間に合わない可能性がある。もしくは間に合わないどころか日本自体が沈んでしまうかもしれないけど。

 

医療・介護提供体制、香川県に依存している水道料金問題、道路の維持管理あたりがこれからの島の公的な問題になると思われる。菅首相が2030年代半ばにはガソリン車の生産を終わらせると宣言してるから、エネルギー問題は島にとっては唯一の福音。ちなみに、フェリーのドル箱、ガソリンなどを運ぶ危険物運搬は減るので、そのへんの影響も視野に入れておくしかない。

 

最後に、そのフェリーの話し。ここのところ3月末に休港する草壁港~高松航路でもめてるけど、早ければ後20年もしないうちに残された高松航路の小豆島サイドの港を、池田港にするのか土庄港にするのかという話しになっているだろう。基本的には島民からすると1つの港にダイヤが集約されているのが便利。個人的には池田港の方が近いから池田港を残してほしい気もするけど、20年後の島民の分布の偏りやフェリーと高速艇が使えること、高松航路の以外の岡山,豊島航路も使えることなどから土庄港に集約するのが妥当だと思う。そんなこと言うと怒られそう(苦笑)

 

ちなみに、その頃になると交通弱者の高齢者はぐっと減っているし、そもそも10年もすれば普通に自動運転の無人タクシーくらいは走っているだろうから池田港でも土庄港でもそんなに大きな違いはないと思うけど。

 

 

ひとまず20年から30年後には人口は半分という前提で行動していくというのが今回の結論。

 

 

次は島の産業のこれからのことや、それに合わせた港の使い方あたりを考えてみたい。

 

 

 

 

“これからのこと2回目「小豆島の人口推移と港問題」” への2件のフィードバック

  1. 突然のコメント失礼します。
    小豆島町苗羽の出身で現在岡山市に在住です。
    年齢は34歳、島をでてから16年になります。
    産業に携わる仕事をしているのですが、故郷の小豆島にふと目を向けてみると、まさに、山田さんが2021年1月11日にブログで記載されていることを僕も考えていました。同じ考えの方がいらっしゃるのかと思わずコメントをしてしまいました。
    現在の過疎は日本全体の問題でもありますが、ご指摘の通り小豆島はそれよりも早く進むと考えてます。要因はいくつかあり、その一つに島独自の慣習が既存の島民の方には居心地が良いところもありますが、島外からの移住者の方にとっては足枷のようになっているかもしれません。コミュニティができあがっており、適合できる方が狭まる。
    また、1番の危惧は労働人口の減少に加え、主要産業、醤油、佃煮、素麺等の業績悪化による衰退。島民出身のものからしても、雇用面(賃金)とプライベートの面が課題のように思います。
    一括りに同じとは言えませんが、その要因で僕の同級生も小豆島、土庄で合わすと300名程いましたが、その8〜9割程は島外へ就職してます。
    観光業もブームの波があり、昭和感を残した戦略も先細りと考えます。
    打開策は現状は具体的には思いつきませんが、他地区の行政の施策であれば、企業誘致による労働人口の増加や税収のアップを試みています。特に製造業の工場誘致。最近岡山でも過疎地域にある吉備中央町は吉備中央町デジタル田園都市によるDXの活用による関係人口の増加を目論んでいます。
    それが直接の改善になるのかはわかりませんが、町を挙げて施策をうつ必要があるように思います。
    誘致してからも輸送面の課題はありますが…
    島をでた僕がお話するのもおかしな話ですが、先祖から住んでいた小豆島に愛着もあり、何か良い手があればと思いながらコメントしました。
    取り止めのないコメントで申し訳ございませんが、お送りさせて頂きます。

    • (匿名希望と言うことだったので代理でコメントアップしています)

      ほぼ2年前に僕が書いた記事に小豆島で生まれ育って今は岡山でがんばっている方からコメントをいただけて嬉しかったです。
       
      この機会に久しぶりに自分の記事を読み返しつつ投稿者のご意見も興味深く読みました。まず、今は2022年10月とあれから2年程経っていますが、この2年予想通りに人口は減り続けていますし、土庄町小豆島町の合併などの話しも進んでいないように人口減に対する何らかの新たな打ち手は見られないようです。個人的には小豆島でのオリーブ栽培の拡大が手詰まりなので、リスクを軽減するために同じ香川県の三豊市で新しく畑を始めて小豆島以外での生活基盤も作り始めました。

      ただ2つの小豆島と三豊で暮らしてみて、改めて小豆島の良さも実感しています。陳腐な表現ですが、小豆島には小豆島にしかない風光明媚な景色があります。他でもできることではなく、この島にしかないものを産業の主軸に据えていくしかないのではないかと考えています。それが瀬戸内の海や寒霞渓などの山を見上げる風光明媚な非日常的な景色を産業にできれば唯一無二の島になるかもしれません。

      別にアートなんてなくていい思います。近隣の島のアートを利用するくらいのしたたかさで、小豆島は本当に人間が寛げる風光明媚な瀬戸内の自然の中で短期、中長期に暮らせる環境を提供できたらこの島はまだ大丈夫な気がします。観光業と言ってしまうと限定的になったり古臭いイメージになるし、移住というと敷居が高すぎます。人生のある時間を使って、気軽に気ままで快適な島暮らしみたいなことを考えてみることもあります。

      三豊が軌道に乗ったらやってみるかもしれません。忘れてしまうかもしれません。(笑)

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