山田オリーブ園 国内で初めてオリーブの有機栽培に成功しました。

カラマタとジャンボカラマタの見分け方-オリーブ生態観察

うちではオリーブの苗木は自分で挿し木で増やすか、小豆島で入手できる基本4種(ミッション、ルッカ、マンザニロ、ネバディロ・ブランコ)の苗木を、役場か同業のオリーブ生産者から買っている。

 
ちなみに役場以外の購入先は、オリーブの実を収穫している果樹農家から買っている。というのも、苗木屋さんと違って、果樹農家は自分のところの収穫用に育てているので木の手入れがされていて樹形が良く、根が強く張っているので、植えてからの勢いが違う。

 
しかし、基本4種以外の希少種を手に入れようとすると、どうしても島外の苗木屋も入手先に含めざるをえない。島外の苗木屋には悪いが、島の果樹農家の苗木と比べると、もともと木に元気がなく、剪定がされていないので樹形が悪く、しかも売る直前に根の大部分を切っていたり、土が粘土質だったりと、なんとも悲しいものが届くことがある。でも、選択肢がない場合は仕方ない。できるだけ小さい苗木を買って、1年くらいのんびり養生させてあげてやることにしている。

 
しかし、ここにきて違う問題があることが発覚し始めた。苗木が大きくなるにしたがって、どうも品種が注文したものと違うことがある。

 
こう言ってはなんだが、僕は小豆島のオリーブが沢山植えてある恵まれた環境にいるので、それでもわりと早めに、品種違いに気付けるが、そうでない人は、何年も気付かないで自分が買ったと思った品種と違う苗木を育てている可能性がある。

 
ということで一部のコアなオリーブマニアにしか役に立たないとは思うけど、届いたばかりの苗木の品種に間違いがないかを見分ける方法を少しずつ書いていきたいと思う。

 
その記念すべき第1回は、カラマタとジャンボカラマタの見分け方!

 
小豆島4品種+レッチーノ+アルベキーナの見分け方はこちら

 
 
ちなみに、この2つから始める理由は、人気が高く、聞かれることがあるから。

 

カラマタはギリシャの高級品種でブラックオリーブの塩漬けは、美味しいと思う。質が良いらしいオイルも搾れるこの品種は、果樹農家としはぜひとも欲しい品種である。

 
そして、ジャンボカラマタ。これはオーストラリアが主な産地で、とにかくでかい実を付ける。オリーブ公園で試食したが大味でスジっぽく、あまりうまいものではなかった。オイルとしての質が高いという話も聞かないので、多分、食べ物としての価値ではなく、でかくて珍しいという品種のような気がする。でも、苗木は人気がある。挿し木の成功率はほぼ0%。希少だから価値があるという典型的なパターン。

 
ということで、カラマタもジャンボカラマタも人気がある品種だが、この2つ遺伝子的には全くの別物らしい。しかし似た名前が付いているのは(僕の推測だけど)、もともと昔からあったギリシャのカラマタに木がそっくりだけど、実がでかいから、でかいカラマタという意味でオーストラリア人がジャンボカラマタと名づけた気がする。ちなみに、同じくオーストラリア産の渋みが少ないオリーブで、ハーディスさんとこのでかいやつというネーミングのハーディスマンモスというのがある。なんにせよオーストラリア人はでかいのが好きな単純明快な人たちであるみたい。個人的には苦手とするタイプである可能性は高いが。

 
また話しが逸れた。

 
ちなみに、オリーブのことを書いた本にはジャンボカラマタは葉が大きいと書かれているが、カラマタも同じくらい大きい。というより見た目はそっくりである。

 
そして、ここからが本題。葉が大きくて、そっくりだけど、この木はカラマタなのか、ジャンボカラマタなのかをマニアとしては見分けられるようになりたい。

 
ちなみに小さい苗木は樹形や木肌などで違いを見つけることが極めて難しい。一番の特徴である実も成らない。とすれば手がかりは葉っぱだけ。

 
ということで葉を並べてじっと見入る。

 
まずは、これがカラマタ。

オリーブ カラマタの葉

 
次に、これがジャンボカラマタ。(=以下ジャンカラ)

オリーブ ジャンボカラマタの葉

 
違い分かりますか?

 
 
ちなみに葉の大きさは、ほとんど同じ。

 
同じ木の葉でも、葉ごとに形は様々なので、けっこう難しい。

 
しかし、ぱっと見た感じの違いと、よーく見ての違いを探す。

 
では、まずよーく見ての違い。左がカラマタ。右がジャンカラ。

オリーブ カラマタとジャンボカラマタの葉

 
分かりますか?

 
ほんの少し違います。

 
葉元からの立ち上がりのラインがカラマタは内側に微妙に沿っていて、ジャンカラは外側にふくれている。

オリーブ カラマタとジャンボカラマタの葉の違い

 
少しの違いだけど確かに違う。

 
次はパッと見の違い。

 
影のでき方で気付いたのだが、左のカラマタは均衡が取れた船みたいな形をしている。葉の上に、水を入れると、きれいに溜まりそうな美しさ。それに比べ右のジャンカラは、必ず水がどっかから漏れるようなぐねぐねした感じがある。ノアの箱舟にしたらカラマタは浮かび、ジャンカラは沈む感じといったらいいだろうか。

オリーブ カラマタとジャンボカラマタの葉の違い 

それでも分からなければ、齧って味をみる。

オリーブ カラマタとジャンボカラマタの葉の味の違い

 
カラマタの方がぴりっと辛みが強いが、ジャンカラは比較的ぼんやりした感じがする。

 
ちなみに写真画像では写せなかったが、葉脈も少し違う。

 
カラマタはミッションみたいに葉脈がきれいに並んでいるが、ジャンカラはネバディロみたいに少しぽわぽわしてランダムに見える。これは葉個別の固体差が大きいので、ほんとうに微妙な違い。

 
 
以上が僕なりのカラマタ、ジャンカラの葉の見分け方。

 
カラマタは大柄だけど性格は生真面目なギリシャ人、マンガ「テルマエ・ロマエ」の主人公ルシウスのイメージだろうか。

 
ジャンボカラマタは大柄なオーストラリア人、屋根の上からハイリハリフレハイリホーとか言ってくる謎の巨人かな。まあそういう髭のおじさん。

 
 
ネットオークションでは挿し木でほとんど増やせないのでジャンボカラマタの人気が高いみたいですが、もし皆さんの手元にあるジャンボカラマタは本物のジャンボカラマタかどうかこれを見て参考にしてみてください。

 
でも、もしあなたの木がカラマタでも大切にしてやってください。実を食べるとジャンボカラマタはスカスカですが、カラマタをジューシーで美味しいです。逆に当たりです。

 

“カラマタとジャンボカラマタの見分け方-オリーブ生態観察” への2件のフィードバック

  1. 私は、2017年秋に、小倉園のジャンボカラマタを2本買いました。(3万円+輸送費)大きな実が着いた苗木でした。15粒を計測したら、最大が19gもありました。正にジャンボでした。
    2018年は、1本に数粒実りましたが、今年(2019)も花たくさん咲いたので、コロネイキ、ピッチョリーネの花の咲いた鉢を隣にもっていきましたが、結実は、僅かです。
    ジャンボカラマタの受粉樹には、何が相応しいですか?。何でもいいのですか?

  2. ジャンボカラマタ、調子が良ければ普通に結実するみたいで相性が特に良い品種は分かりません。木のコンディションさえ良ければ、あまり気にしなくてもいいと思います。

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