1匹のゾウムシを見つけるタネアカシ
繁忙期が終わって毎年、最初にやるのが土壌診断。
代表的な6つの畑の土を取ってきてその中に含まれる窒素やカリ、ミネラル分、有機物などの基本的な数字を見ておく。
農業を始めて12年になるけど、ベテランの先輩たちみたいに土を一握りして匂いを嗅ぎ土の状態を知るみたいなことはできない。もちろん、雨上がりの畑の土から漂う匂いの違いは分かるし、下草の種類や勢い、オリーブの樹勢や実の量などである程度、うまくいっている畑とそうでない畑があるのは分かる。
土の養分や物理状態、水分の量や移動、光や気温、多種多様な菌や小さな虫たち、そして人間、色んなことが少しずつ影響して木は育って実を付ける。
魔法使いや何かのすごい職人やどっかの教祖みたいに、ぱっと土を風に舞わせて何かを理解することはできない、と思っている。
なので、自分ができることだけをまずはやっておく。土に含まれる養分、物理性、水分量、日照時間、気温、虫の数、営農記録、実は数字にして記録できることは案外多い。
僕は500本のオリーブ畑にやってくる1匹のゾウムシを見つけることができるが、それは魔法でもなければ野生の勘でもなくて10年以上の数字が入ったExcelの表を持っているから。
これからも奇跡ではなく地味にコツコツと。
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