待望の雨
今年は夏の少雨が秋まで続いて渇きに強いオリーブさえも弱り始める。そこに、まとまった雨量の雨。オリーブの感情は分からないけど、それでも両手を広げ、雨を喜んでいるようにしか見えない。よかったオリーブ、と思う。
昔、学校でなぜ?雨が降るのかということは習った。地上にある水蒸気が空に昇り、小さなゴミを核に雲になり、その重さで雨になり降ってくるという循環や気体の重さや張力やらなにやら。なので、雨が降ることのほぼ全部は科学的に解明されているのだろうな、と思いながら暮らしている。
それでも、こんな風にずっと待ちわびていた雨が降ってくると、雨が降るという当たり前の現象に驚き、感謝してしまう。子どもの頃にテストの点数を取るために学んだそれらの科学のことを、農家になってみると、ほとんど忘れていた。
でも、なんだろう。子どもの頃思い描いていた21世紀の未来に暮らしているのに、あの頃思い描いていたほど、その科学は進化しなかった。車は空を飛んでいないし、火星に人は住んでいないし、ロボットが料理をしている訳ではない。変わったことと言えば、線につながっていなくても電話ができることと、大人が昔よりバカになったことくらい。
口をポカンと開けて、雨粒を食べながら、科学ではなく、神様的な何かに感謝していようとは。今より賢かった子ども時代の自分に申し訳ない気がしなくもない。お酒を飲みすぎたせいだろうか。
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