2021新しい柑橘たち
暖かい春の雨が降る。
雲が降りて早朝の高松行きのフェリーは止まったのだろうか。
ここのところ高松での用事が多く、軽トラで持ち帰って来た柑橘の苗木を雨が降り出す前に植えていく。
やはり高松のホームセンターの品揃えは島の比ではなく珍しい農機具なども多い。そして何より園芸コーナーの苗木が最高。雑誌でしか見たことがない珍しい柑橘類が目の前に次々現れるのにテンションが上がり続ける。キャビアみたいな果物とか紫色のミカンとか。
もう島の畑に新しい苗木を植えるスペースなんて残っていないのに気づいたら13本の苗木を持ち帰っていた。
畑には木を育てるのに良い場所と悪い場所があるのだが、もちろん良い場所にはオリーブが植わっているので、新参者の柑橘を植える場所なんて残されていない。それでも6ヵ所の畑をぐるぐると回りながら何とかここならという小さなスペースを見つけ1本ずつ植え付けていく。苦労掛けるけどがんばってな。
なんだろうう。木を植える行為って何年経っても不思議な本能的な興奮とどこまでも冷静なイマジネーションを与えてくれる。植えてからある程度の量を収穫できるまでだいたい5年。つまり4年間はただただ猿蟹合戦の蟹のように木を育てるだけ。なんだったら場所や気象環境が合わなければアボカドみたいに枯れるだけだったりアーモンドみたいに虫に食われる続けて終わることもある。
それでも木を植える。
5年後という自分がどうなっているのかも分からない未来に向けて木を植える。ヤシマ作戦ならぬ猿蟹作戦。エヴァ観たせいか。そういえばあのヤシマっていつも小豆島から対岸に見える屋島のことで、源平合戦のときに那須与一が扇の的を射る話し。
ちなみに、あのとき那須与一が的を外して意気消沈した源氏が負けて平家の世が続いていたとしたら今の日本はだいぶ愉快な国になっていたような気がしないでもない。猿蟹合戦の猿がひどい目に合わずうまい柿を堪能できたり、ウサギがカメをぶっちぎっている日本はどんなだったろう。
コツコツと稲や野菜を育てその恵みをいただいてきた日本の農業はそろそろ終焉を迎えているのだから、サルやウサギやセミが幸せになるのもありかもね。
5年後。今日植えた柑橘で作ったカクテルで一杯やるためにカニにように木を植える。
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