太陽の光とオリーブと草と土が変化していくこと
オリーブを間伐すると、ぽっかり空が見えて、その真下にだけ下草が青々と生えてくる。この下草は四季を通して生えては枯れて沢山の有機物を土に還し土を肥やしていく。肥えた土には、周りのオリーブの根が伸びてきて、上空では周りのオリーブの葉が広がって光を取り合い、時間とともに徐々に日が当たる地面は減っていく。
左のオリーブは、超強剪定で1mまで切り戻すと、やはり下草が生えてくる。右のオリーブは普通にオリーブの葉が光を遮るので地面まで太陽光が届かず下草は生えない。例えば右の葉が密に茂ったオリーブは太陽の光を全てその葉が受け止め光合成によってオリーブの果実として有機物を蓄積させる。左のオリーブは、受け止める葉がないので下草が太陽の光を使ってどんどん茂り枯れ、有機物を土に還し、その有機物の栄養によってオリーブが育ち、数年後には沢山の葉を茂らせ、果実を実らせる。
畑を3次元的に捉えること。時間軸で太陽のエネルギーと植物と土がどのように移り変わっていくのかということを想像し、人間がほんの少し環境を変えることの面白さに気付いてから農業の楽しみが1つ増えた。
去年までは、とにかく太陽の光をオリーブの葉が効率よく吸収するためだけに剪定し樹形を整えてその年の秋の収穫量のことだけを考えていたけど、オリーブの木だけでなく下草や土も含めた畑を立体的に、かつ数年のレンジでとらえ直すと、これまで迷っていたことの答えみたいなものが少しずつ見えてきたような気もするし、気のせいかもしれない。
オリーブには収穫量が多い表年と裏年があるので、どのタイミングで太陽の光をどこに届けるのか、ちょっと大仰かもしれんけど、このあたりには大切な何かがあるような気がしている。気のせいじゃなければいいけど。
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