山田オリーブ園 国内で初めてオリーブの有機栽培に成功しました。

最初に出会った本「灰谷健次郎さんの兎の眼」

オリーブ畑の指定席

畑仕事の合間の楽しみは本を読むこと。ひと仕事終える度に、休憩がてらその日その日の特等席で本を読む。

 

本にまつわることを少しずつ書いてみようと思う。6月にオリーブ農家になって10年間に体験したことを本にして出版する予定になっている。でも、ここで書こうと思っているのは、その本のことより、僕にとってこれまで読んできた本であったり、本との関係みたいなこと。

 

最初なので、本を読み始めるきっかけになった本、灰谷健次郎さんの「兎の眼」のこと。

 

多分、10歳の頃。なぜ、この本を読み始めたのかといったことは忘れてしまったけど、読み始めたら、あっという間に本の世界に入り込んでしまった。なんでこんなに入り込んだのか今考えれば、主人公の鉄三に感情移入していたんだと思う。学校では全く口がきけない鉄三が大切にハエを飼っているシーンが家庭訪問のシーンだったと思うが描かれる。鉄三と同じで学校で人と話しができなくて虫ばかり捕っては倉庫で飼っていた自分そのものが本の世界にいることに驚いた。そして、物語が進むに従って鉄三が少しずつ変わっていくのだが、僕も一緒に変わっていった。

 

本を読む前と、読み終わった後の僕は別人になってしまったという出来事が、最初の本「兎の眼」との出会いだった。あの頃から、ずっと本とのつきあいが続いているが、「兎の眼」ほどの感動と、自分の中身が変わってしまうほどの衝撃を受けたことはない。灰谷さんという人は何で僕のことを知っていて本に書いたのだろう?と驚いたことを今でも覚えている。

 

あの10歳のときに別人になった僕は、今の僕と全く同一自分物である。今でも虫を飼って本を読んで暮らしている。40年以上が経って変わったことといえば学校に行かなくなったことと、お酒を飲むようになったことくらい。

 

 

 

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