ヤタガラスによる農業の救済
雑感です。
池井戸潤さんの本が好きで「空飛ぶタイヤ」を始めて読んだときは本を読みながら体が震えるは涙が出るやらで大変だった。
池井戸シリーズのドラマも大好きで前作の陸王も良かった。
下町ロケットシリーズも好きだけど、今回やっていたヤタガラスは始めて途中で観るのをやめそうになった。観たけど。
1つには無人農業ロボットみたいな技術に懐疑的だったこともあるけど、それ以上に農業の捉え方が、農家ではない人がイメージしているファンタジー農業みたいな扱われ方にがっかりしたのだと思う。
農業の担い手がいないとか、重労働とか、意地悪な農協とか、空を見て何かを予感するお爺さんとか、嵐に打ちのめされる百姓とか。
そして何よりロケット→人工衛星→ITといった最新技術が、古臭い農業を救うみたい描かれ方に抵抗感があるのかもしれない。
陸王のように足袋の技術に誇りを持ち走るランナーのためになりたいというのは良い。
イモトアヤコさん演じる島津がトランスミッションオタクな感じも良い。
ロケット!ロケット!のロケットオタクの佃航平や財前はかわいい。しかし、どこでどうなったのか人工衛星を手に入れた彼らが、突然「日本の農業を救いたい!」とか言い出すのが腑に落ちない。誰がそんなことを頼んだんだろうという謎。何かすごいものを作ったけど使い道がないから弱者を救うみたいな感じのことで使ってみようが本音ならそれならそれでいい。
今回、佃社長の演説がやたら長かったのは、池井戸さんなのかドラマを作っている人たちなのか、どこか腑に落ちていなかったのでは。
日本中の田んぼを、何千台という無人トラクターが、昼も夜も走り回り、お米を作りまくる世界。
雨風や四季に関係なくLEDと培養液で育てられる野菜工場。
命が宿ることがない有機物が培養される食肉工場。
未来の話ではなく既にそういう状況は始まっていて、人口が増え続ける世界では食料を効率的に生産する方法としては正解なんだと思う。
四季を感じながら自然の中で汗を掻く昔ながらの農業を体験できるテーマパーク東京ドイツ村がディズニーランドを超える日もわりと近い気がする。
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