山田オリーブ園 国内で初めてオリーブの有機栽培に成功しました。

この夏一番暑い日に

2020年9月3日小豆島今年の夏の最高気温

2020年9月3日午後2時外気温37.3℃。今季最高気温を記録。もうそろそろ秋かなと油断していたのがまずかった。気温が体温を超えてくると服に小さな扇風機が2つ付いた空調服もただのサウナ服と化す。何も考えることができず、酸欠水槽で溺れる金魚みたいに、口をパクパクしながら帰ってくる。

 

今日の仕事は終了。水シャワーを浴びて扇風機に当たる。ビールのことばかり考えそうになるが、平日は5時前には飲まないぞルールを一人で決めているので我慢。気を紛らわさせるために、韓国ドラマの続きを観はじめるが全く内容が入ってこない。字幕の字が読めないせいかと思い、日本のドラマに変えるが、言葉の意味は分かるが、全く何も感情が動かないのでそれも断念。たぶん暑さというのは、身体だけではなく、脳みそにもダメージを与えるのだ。

 

何も考えないときに最適なのはSNS。fbで数か月前に興味本位で入った農業系の2つのグループを流し読んでいると、慣行栽培農家を中心とした農薬支持派と、有機や自然栽培などの無農薬派のバトルが盛り上がっている。農業系のネット論争としては超定番。fbなので年齢層高めのおじさんおばさんたちが暑い、ではなく熱い。

 

レッテル貼り思考は良くないが、無農薬派は、農家というより消費者だったり家庭菜園をやっている都会の理論派が中心、農薬支持派はやはり農家。まあ、自分が正しいという主張をぶつけ合うだけなので、基本、なかなか歩み寄るみたいなことはない。そもそも暑くてイライラしてるし。

 

僕は有機農家なので立場的には無農薬理論派だと思うのだが、そもそも農薬は良いか悪いかという議論のテーマの立て方がバカバカしい。例えば、人間に使う薬は良いか悪いかという議論がそんなに盛り上がるだろうか。人間に使うものを薬と言い、植物や虫や菌に使う薬を農薬を言う。人間や植物の症状に合わせて正しく使う、ただし副作用が出ることもあるので細心の注意を払うというのが、普通の薬に対する人間のスタンスである。

 

農薬も同じ。僕は有機農家なので使えない農薬は沢山あるけど、もし有機やってなければ使う農薬もあるし、使わない農薬もある。同じ農薬でも使うときもあるし、使わないときもあると思う。農薬は、きちんとした知識に基づいて丁寧に使えばいいと思う。

 

僕は離島でオリーブを育てているだけなので、他の地域で他の農産物を育てている農家の実情を知らない。

 

でも、都会の人たちは、この暑さの中でサウナ服を着ながら、毎日同じ単純作業を繰り返す農家が出荷する野菜の値段がびっくりするくらい安くて、その安い野菜が天候不良で少し高くなっただけで夕方のニュースで野菜の値段が高くて困っちゃうという主婦の愚痴を聞かされる絶望感のことを知らない。これ以上、何をすればいいのかと。

 

そして都会の人たちは知らない。農薬を指定された通りの濃度や頻度を無視して、適当に使っている農家が交っていても、ほとんどチェックなんかできていないことを。人間に薬を投与する医師、処方する薬剤師は国家資格を持っているけど、農薬を使う農家は何の資格も持っていないし、農作物を作った人と食べた人のトレサビリティ―なんて日本の農業システムでは機能していないことを。

 

性善説の国日本。

 

僕は根が悪いので、人間は知らない人がどうなろうとあまり気にしないし、楽をして金儲けしたいというのは人間の本質なので、そういうある意味人間的な農家をいかにきちんと、そういうのはいけませんよと取り締まり、そして、ちゃんとがんばっている農家はがんばっているなりに報われるくらいに食っていける世の中になったらいいなと、そう思う。

 

そういうのは政治の世界の仕事だろうか、それとも宗教の仕事だろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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