死のロードからのビール
一年で一番しんどい季節は夏。特に梅雨入りから梅雨明けして2週間ほどのしんどさはなかなかのもの。
オリーブ農家の「死のロード」と勝手に呼んでいる。
死のロードって確か高校野球の間、甲子園を使えない阪神がずっと全国を転戦するあれだったと思うが、うちの場合、フィーバー状態になるオリーブアナアキゾウムシから600本の木を守り、20か所の畑を覆う草を刈りまくるこの状況が死のロード。
よく人から収穫大変でしょ、と言われるが大変なのは秋の収穫ではなく灼熱の真夏に蚊や蜂に刺されながら地べたを這いまわり草を刈り続ける7月、8月こそ大変であって、今の時期の大変さに比べると、秋の収穫のなんて屁でもない。
まあそれでも午後3時を過ぎる頃になると、皮膚細胞を破壊し続けていた太陽の光がふわっと軽くなって、オリーブの木陰から吹く風が背中の汗をすっと冷やし、裏山からヒグラシの鳴く声が聞こえてきたりするもんだから、なんだかんだ言ったって農家はやめられない。キンキンに冷えたビールをぱかっと開けた喉に流し込むことを想像しながら、日暮れまでもうひとがんばり。
そういえば、先日、イタリアのトスカーナ近郊でオリーブを栽培している人がうちの畑に来て話をした。イタリアも南北によって気候も違うだろうから色々だろうけど、その人のオリーブ畑では草刈りはざっと年に2回くらいしかしないらしい。うちの畑では1年に20回は草刈りしているので、10倍くらいの違いがある。そしてオリーブミバエという日本にはいない害虫はやっかいだけど、オリーブアナアキゾウムシなんていう木を枯らしてしまう害虫は聞いたことがないという。オリーブの本場、イタリアにはイタリアの大変さはあるだろうけど、どうも日本でオリーブを育てるのは相当大変なんじゃないか?という疑惑がないわけではない。
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