Tシャツの前後ろに負け続けても
60年近く生きてきて自分は「賭け」に弱いということが分かってきた。
「えいや!」と勘で動くと、だいたい外れる。
例えばTシャツや下着の前後ろ。 「こっちが前だ!」と賭けに出てやみくもに着ると、7割くらいの確率で逆。 5対5のはずなのに、なぜか負け越して着直すことになる。
もう一つ分かってきたことがある。
結婚や転職や移住など、結果が出るまで時間がかかることを選ぶことは「賭け」ではない。
若い頃は人生は賭けの連続だと思っていたけれど、実際はそんなことはなかった。 右の道を選んでも、何年も歩けば左の道と合流していたりする。
勝つも負けるも最初の選択で決まるのではなく、賭けた後の長い地味な時間で決まっていく。厳密に言うと、そうこうしていると勝ったのか負けたのかが分からなくなったり、どうでもよくなったりしている。
大学2年の息子が春からは就職活動らしい。最近はこんなにも早く始まるのかとびっくりする。何を選んでもいいんだけどな、とそう思う。
僕が父親に何も言われなかったように、僕も息子に偉そうなことを言えるわけがない。
文:山田典章
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