池に降る雨
ときおり小雨が落ちてくる。草刈りで火照った体には心地よい。
ここ小豆島では井戸のことを池という。僕には井戸にしか見えないのだが、水に困る島ではどの畑にもあるこの井戸は人が飲用に使うのではなく、畑の農作物に使うので井戸ではなく池なのかもしれない。そんな話を島の人としたことはないのだけど。
ふと10年くらい前の雨の日を思い出す。京王線の千歳烏山駅で人に押されて大切にしていた傘が折れたこと。新宿の山の手線に乗り換える地下道でどこかの美術展の螺鈿の漆塗りのポスターと、どこかのミイラ展を立ち止まって見ていたこと。そして通勤客の流れの邪魔になっていたこと。
井戸ではなく池に、またイノシシが落ちて溺れていた。鍬で引き揚げて畑に埋める。そんな一日。
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