オリーブ農家になって、今年で17年目になります。
小豆島で私が続けてきたことは、とても単純なことです。農薬を使わないかわりに、毎日畑に入り、木を観察し、オリーブアナアキゾウムシを一匹ずつ手で捕まえる。草が伸びれば、適度に刈る。 ただ、それだけです。
なぜ、農薬を使わないのか。 当時、日本でオリーブの有機栽培に成功している人は誰もいなかったからです。「ゾウムシにやられるから無理だ」と誰もが言いました。
しかし、私は子供の頃、来る日も来る日も裏山で虫ばかり追いかけていました。「虫を捕るだけなら、自分にもできるかもしれない」。そう思ったのが始まりです。
有機栽培が正しいから選んだわけではありません。誰もできていないことだから挑戦したかった。そして、自分には「虫を捕る」という得意なことがあった。それだけの理由です。
場所が変わっても、やることは変わりません。
今、私は小豆島の農園に加え、香川県三豊市にある「ブルームファーム」という畑の再生に取り組んでいます。そこは、もともと耕作が放棄され、多くの木が枯れかけていた場所でした。引き継いで5年目になりますが、収穫量はまだほんのわずかです。今年も20本以上の木が枯れてしまいました。
小豆島のように、うまくいっていることばかりではありません。けれど、小豆島の豊かな畑も、三豊の再生中の畑も、私にとっては同じ大切な畑です。
土の状態が悪ければ、どうすれば良くなるかを考える。木が弱っていれば、その原因を探って手当てをする。
小豆島で育った実も、三豊で育った実も、基準はひとつです。私が毎日木を見て育て、その実を手摘みし、自分で搾る。そうしてできたものだけを、責任を持ってお届けします。
自然の力を借りながら、事実と向き合い、コツコツと木を育てる。 これからも、それを続けていきます。
2026年冬
山田典章
山田オリーブ園|株式会社ブルームファーム
